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東京地方裁判所 昭和29年(行)108号 判決 1959年10月21日

原告 田中不二雄

被告 東京国税局長

主文

原告の請求はいづれもこれを棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

当事者双方の申立、事実上の主張、及び証拠関係は別紙記載の通りである。

理由

一、請求原因第一項記載の事実は当事者間に争いない。

原告は、被告が原告の昭和二十四年分所得額を金一、一九四、〇〇〇円と認定してなした審査決定、渋谷税務署長が原告の所得につき昭和二十五年分金一、一一〇、三七〇円、同二十六年分金一八八、八〇〇円と認定してなした決定を被告が認容してなした各審査決定は、原告の所得額につき誤つた認定の下になしたものでいづれも違法であると主張し、被告は、原告は右期間中右認定額以上の所得があつたのであるから、右各決定はいづれも適法であると主張する。よつて、以下順次右期間における原告の所得税について検討する。

二、被告は、原告が昭和二十四年ないし同二十六年の間において編物機械の製作販売及び編物の講習を業とし、これにより収入を得ていたと主張するのに対し、原告は、右のような営業をなしたことはないと主張するのであるが、証人浅利重雄の証言により真正に成立したと認められる乙第二号証、同第九号証、証人大滝浩の証言により真正に成立したと認められる乙第一号証の一ないし十二、同第八号証、同第十号証の一、二、並びに証人浅利重雄、同中村定雄の各証言によると、原告は昭和二十三年六月頃から肩書住居において編物機械の製作販売並びに東京高速編物学園と称して生徒を募集して右編物機械を使用した編物講習の事業を引続いて経営し、昭和二十五年十一月二十七日訴外東京高速編物株式会社を設立(この点は当事者間に争いない。)した後は、右訴外会社をして編物機械の製作販売をなさしめ、原告は編物講習の事業のみを営み、昭和二十四年より同二十六年までに至る間右各事業によりその収入を得ていたものであることを認めることができる。

ところで、原告は右営業に関する収支を明らかにすべき帳簿書類等の資料を所得の調査に当つた税務官吏に提示しなかつたことは当事者間に争いなく、また本件訴訟においてもこれを提出しないから、このような場合においては、右調査或は訴訟において現れた資料に基きその所得を合理的な方法によつて推計することは許されるべきである。よつて、以下被告の主張する原告の所得額の当否につき順次判断する。

三、昭和二十四年分所得

(一)  証人中村定雄の証言ならびに後記乙第十二号証の記載及び証人大滝浩同浅利重雄の各証言により真正に成立したと認められる乙第三ないし第七号証、証人浅利重雄、同大滝浩の各証言及び弁論の全趣旨により真正により真正に成立したと認められる乙第十二号証、及び前記乙第二号証、同第八、第九号証、同第十号証の一、二、ならびに証人浅利重雄、同大滝浩及び同中村定雄の各証言を綜合すると、次の事実を認めることができる。

(1)  編機販売による所得

同年中に販売した編機は総て一二〇目機で、その販売総数は七九二台、この内六三%に当る四九九台は小売価格(単価金三、〇〇〇円)、三七%に当る二九三台は卸売価格(単価金二、二〇〇円)で販売し(右小売台数と卸売台数との割合は、乙第十二号証中原告作成名義の上申書(昭和二十九年八月二十五日受付)添付の収支計算書中昭和二十四年度収入の部の欄に記載されてある小売五一台、卸売三〇台の比率に依つたものであり、前記販売総数七九二台を右計算書による卸、小売の比率に従つてそれぞれ卸売数、小売数を推計することは、他にこの割合が不当であると認めるべき資料のない本件においては許されるべきことであり、また不合理とはいえない、従つてその売上金額は

小売分 一、四九七、〇〇〇円

卸売分   六四四、六〇〇円

合計  二、一四一、六〇〇円

となり、この売上原価は総額金一、二二〇、七二五円(一台当り製作原価金一、四四一円三二銭に販売に要する一般管理費用金一〇〇円を加算(この管理費用の加算は相当と認める)した金一、五四一円三二銭の七九二台分)であるから、右売上総額から売上原価を控除した金九二〇、八七五円が編機販売による所得である。

(2)  編物講習による所得

前記学園に対する入学金は金三〇〇円、月謝は金五〇〇円、卒業生に対する免許料は金八〇〇円にして、同年中における入学者は五二〇人、在学生徒延八二三人、卒業した者は一四三人であるから、編物講習による収入は

入学金収入 一五六、〇〇〇円

月謝収入  四一一、五〇〇円

免許料収入 一一四、四〇〇円

合計    六八一、九〇〇円

であり、これに当時渋谷税務署管内で用いていた所得標準率五〇%を乗じた(この所得標準率の適用は編物講習の経費につきこれが不当であると認めるべき資料のない本件においてはやむを得ないところでありり、かつ不合理とはいえない)金三四〇、九五〇円が編物護習による所得である。

(二)  以上認定した編機販売による所得金九二〇、八七五円と編物講習による所得金三四〇、九五〇円との合計金一、二六一、八二五円が昭和二十四年における原告の所得というべきである。

四、昭和二十五年分所得について

(一)  前記三の(一)冒頭掲記の各証拠と、成立に争いない乙第十三号証とを綜合すると左の事実を認定することができる。

(1)  編機販売による収入

昭和二十五年十一月二十七日前記訴外東京高速編物株式会社設立に至るまでの総売上台数は一、一一四台である。その内訳は卸売七六九台、小売三四五台である。(この卸、小売台数を直接に示す証拠はないが、同年中における前記学園入学者の延人員四〇六人であり、前記原告作成名義の上申書添付計算書中の昭和二十五年度収入の部欄の記載によると、入学者一四〇人に対し一一九台の編機を販売しているから、入学者数の八五%に当る数の小売をした割合となり、この比率に従い、右入学者四〇六人の八五%に相当する三四五人に各一台小売し、残余の七六九台が卸売と推計できる。右の推計は他にこれを不当と認めるべき資料のない本件においてはやむを得ないところであり、かつ、不合理とはいえない。)同年中に販売した編機は一二〇目機、一四五目機、一七〇目機の三種であり、各機種の卸、小売台数単価は左表の通りである。

機種

販売比率

卸売台数

小売台数

卸小売台数合計

卸売単価(円)

小売単価(円)

一二〇目機

五〇%

三八四

一七三

五五七

二、二〇〇

三、〇〇〇

一四五〃

三〇%

二三〇

一〇四

三三四

二、六〇〇

三、四〇〇

一七〇〃

二〇%

一五五

六八

二二三

二、八〇〇

三、六〇〇

一〇〇%

七六九

三四五

一、一一四

(右表中の販売比率及び販売台数についても直接的な証拠はないが、前記収支計算書中昭和二十五年度収入の部欄に記載のある卒業生卸の内訳が一二〇目機六五台、一四五目機三九台、一七〇目機二六台であるところから、この割合から、右各機種の販売比率を五〇%、三〇%、二〇%と算出し、その各販売台数を推計することは、許されるべきであり、不合理ではない。)

販売原価は前年同様に各機種につき一台当り金一、五四一円三二銭とするのが相当であるから編機販売による収支は左の通りとなる。

<イ> 総売上高 二、九九四、二〇〇円

小売売上高    一、一一七、四〇〇〃

一二〇目機       五一九、〇〇〃

一四五〃〃      三五三、六〇〇〃

一七〇〃〃      二四四、八〇〇〃

卸売売上高    一、八七六、八〇〇〃

一二〇目機      八四四、八〇〇〃

一四五〃〃      五九八、〇〇〇〃

一七〇〃〃      四三四、〇〇〇〃

<ロ> 売上原価 一、七一七、〇三〇〃

編機所得     一、二七七、一七〇円(<イ>―<ロ>)

即ち昭和二十五年における編機販売による所得は金一、二七七、一七〇円である。

(2)  編物講習による所得

昭和二十五年における前記学園に対する入学金、月謝、免許料は前年同様にして、入学者は四〇六人、在学者は延九三二人、卒業者は一五六人であるから、編物講習に関する収入は

入学金収入 一二一、八〇〇円

月謝〃〃  四六六、〇〇〇

免許料〃〃 一二四、八〇〇

合計    七一二、六〇〇

となり、右収入合計金額に前年同様の所得標準率五〇%を乗じた金三五六、三〇〇円が編物講習による所得である。

(3)  その他の所得

原告は昭和二十五年十一月二十七日前記訴外会社設立後その代表取締役に就任し、その給与は少くも一ケ月金一〇、〇〇〇円であるから、同年十二月分の給与金一〇、〇〇〇円から、所得税法第九条第一項第五号に規定された一五%に相当する金額を控除した金八、五〇〇円が同年における給与所得というべきである。

(二)  以上認定の如く、原告の昭和二十五年における所得は編機販売による金一、二七七、一七〇円、編物講習による金三五六、三〇〇円及び給与金八、五〇〇円の合計金一、六四一、九七〇円であるというべきである。(被告の主張する不動産所得金九七五円は、如何なる家屋の賃貸料なるか明確を欠き、この所得のあることの証拠もないから、右被告主張事実は採用できない。この点は次の昭和二十六年における不動産所得についての主張についても同様である。)

五、昭和二十六年分所得について、

前記三の(一)冒頭掲記の各証拠(但し、乙第三ないし第五号証を除く)及び乙第十三号証を綜合すると、左の事実を認定することができる。

同年における編機販売は前記訴外会社が行つたから、これによる所得はなく、同年は編物講習による所得と、右訴外会社よりの給与所得となる。

(1)  編物講習による所得

同年における入学金、月謝、免許料はいづれも昭和二十四年と同額である。同年における入学者数は三五〇人である。従つて、在学者は延三五〇人、卒業者は一一二人と推計できる。(右入学者数だけの者が少くも一ケ月在学したと認めることは不合理でない。卒業者数は、昭和二十四年、同二十五年における卒業者総数の入学者総数に対する割合は三二%となつているから、昭和二十六年における卒業者数を右入学者数三五〇人の三二%に相当する一一二人と推計することは、本件においてはやむを得ないところであり、かつ、不合理でない。なお、被告は右卒業者数は一二二人であると主張するが、これを認めるべき証拠はない。)従つて、同年における編物講習に関する収入は

入学金収入 一〇五、〇〇〇円

月謝〃   一七五、〇〇〇

免許料〃   八九、六〇〇

合計    三六九、六〇〇

となり、右収入合計金額に前年同様の所得標準率五〇%を乗じた金一八四、八〇〇円が昭和二十六年における編物収入というべきである。

(2)  給与所得

前年同様訴外会社よりの給与一ケ月当金一〇、〇〇〇円であるから一ケ年金一二〇、〇〇〇円となり、これからその一五%に相当する金額を控除した金一〇二、〇〇〇円が昭和二十六年における給与所得というべきである。

(3)  以上認定した通り、原告の昭和二十六年における所得は、編物講習による金一八四、八〇〇円及び給与金一〇二、〇〇〇円の合計金二八六、八〇〇円である。

六、以上の認定に反する原告本人の供述部分は前掲各証拠に対比して措信できないし、その他右認定を左右し得るに足る証拠もない。

そうすると、原告の所得は、昭和二十四年分が金一、二六一、八二五円、同二十五年分が金一、六四一、九七〇円、同二十六年分が金二八六、八〇〇円であるから、原告の所得を右金額の範囲内に認定してなした本件各決定は、原告主張のような違法な点はないものというべきである。よつて、被告のなした本件各決定の取消を求める原告の本件各請求は、いづれもその理由がないから、全部これを棄却し、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九条を適用し、主文の通り判決する。

(裁判官 石田哲一 地京武人 石井玄)

(要約書別紙)

一、請求の趣旨

被告が昭和二十九年十月十四日付でなした

(一) 原告の昭和二十四年分所得税に関する審査の請求に対し、渋谷税務署長がなした原告の同年分総所得金額を金一、四二一、九五五円とする決定中二二七、九五五円を取消し、これを一、一九四、〇〇〇円とした決定

(二) 原告の昭和二十五年分所得税に関する審査の請求を棄却した決定

(三) 原告の昭和二十六年分所得税に関する審査の請求を棄却した決定はいずれもこれを取消す。

訴訟費用は被告の負担とする。

二、請求の趣旨に対する答弁。

原告の請求を棄却する。

三、請求原因として原告の陳述した事実

(一) 訴外渋谷税務署長は第三者の通報に基き、昭和二十八年四月三十日原告の所得税に関し、昭和二十四年分総所得金額は金一、四二一、九五五円、昭和二十五年分総所得金額は金一、一一〇、三七〇円、昭和二十六年分総所得金額は金一八八、八〇〇円であると決定し、同年六月一日その旨を原告に通知した。原告は右決定に対し、同税務署長に再調査の請求をしたところ、被告は所得税法第四十九条第四項第二の規定により審査の請求と看做して、昭和二十九年四月十四日付で、

(1) 昭和二十四年分所得税に関する審査の請求については渋谷税務署長の前記決定中金二二七、九五五円を取消し、同年分の原告の総所得金額を一、一九四、〇〇〇円とする旨の決定をなし、

(2) 昭和二十五年分及び昭和二十六年分の所得税に関する審査の請求についてはいずれもこれを棄却するとの決定をなし、右各決定は即日原告に通知された。

(二) しかし原告には昭和二十四年から昭和二十六年までは所得は全然なかつたのでああるから、渋谷税務署長のなした前記原告に対する課税決定を一部認容した昭和二十四年分所得税の審査請求に対する決定及びこれを全部認容した昭和二十五年分及び昭和二十六年分所得税の審査請求に対する各決定はいずれも違法であつて取消さるべきである。

四、請求原因事実に対する答弁及び主張として被告の陳述した事実。

(一) 請求原因(一)記載の事実はすべて認めるが同(二)記載の事実は否認する。

(二) 本件各決定はいずれも違法でない。

(1) 原告は昭和二十三年十月以降訴状肩書地において東京高速編物研究会の名称で編物機の製作及び販売を行うとともに、生徒を募集して編物の講習をしていたが、昭和二十五年一月頃には右名称を東京高速編物協会と改めて右事業を継続し、同年十一月二十七日東京高速編物株式会社を設立し、自らその代表取締役となつて右事業のうち編物機の製作及び販売部門を経営したが、編物の講習部門は引きつづき原告が前記協会の名で経営していたものである。そこで渋谷税務署長は原告に対し右編物機の製作及び販売(昭和二十五年十一月前記会社設立まで)並びに編物の講習事業による収益について原告主張の額の総所得金額を認定したのである。

(2) 原告は税務官吏の所得の調査に際し、課税資料となるべき書類や帳簿は一切皆無であると称し提示しなかつた。このような場合には原告の所得をできるだけ合理的な方法で推計するほかはない。

(3) 被告の調査によると原告の所得金額はつぎのとおり昭和二十四年分一、五四七、七七五円以上、同二十五年分一、八四三、二四五円以上、同二十六年分三〇二、五〇〇円以上と推計される。

(イ) 昭和二十四年分の所得は編物機の製造販売事業による所得(以下これを編機所得という)と編物の講習事業による所得(以下これを学園所得という)からなる。その内訳は次ぎのとおりである。

(A) 編機所得 (円)

<1> 売上高   二、一四一、六〇〇  註参照

小売収入  一、四九七、〇〇〇  単価三、〇〇〇円の四九九台分

卸売収入    六四四、六〇〇  単価二、二〇〇円の二九三台分

<2> 売上原価  一、二二〇、七二五  一台当り一、五四一円三二銭の七九二台分

<3> 編機所得    九二〇、八七五  <1>―<2>

(B) 学園所得

<4> 収入      六八一、九〇〇

入学金収入   一五六、〇〇〇  一人当り三〇〇円の五二〇人分

月謝収入    四一一、五〇〇  一人当り五〇〇円の八二三人分

免許料収入   一一四、四〇〇  一人当り八〇〇円の一四三人分

<5> 学園経費     五五、〇〇〇  原告提出の計算書による

<6> 学園所得    六二六、九〇〇  <4>―<5>

(C) 所得金額   一、五四七、七七五円 <3>+<6>

(註)昭和二十四年の原告の編機の販売総数は七九二台であつて、原告の申立によると同年中の販売編機は全部一二〇目機であつて、小売数と卸売数の総販売数に対する比率は、それぞれ六三%、三七%であつた。

(ロ) 昭和二十五年分所得は編機所得、学園所得、不動産所得および給与所得からなる。その内訳は次ぎのとおりである。

(A) 編機所得 (円)

<1> 売上高   二、九九四、二〇〇 註参照

小売収入  一、一一七、四〇〇 三四五台分

一二〇目機   五一九、〇〇〇 単価三、〇〇〇円の一七三台分

一四五目機   三五三、六〇〇 単価三、四〇〇円の一〇四台分

一七〇目機   二四四、八〇〇 単価三、六〇〇円の六八台分

卸売収入  一、八七六、八〇〇 七六九台分

一二〇目機   八四四、八〇〇 単価二、二〇〇円の三八四台分

一四五目機   五九八、〇〇〇 単価二、六〇〇円の二三〇台分

一七〇目機   四三四、〇〇〇 単価二、八〇〇円の一五五台分

<2> 売上原価  一、七一七、〇三〇 一台当り一、五四一円三二銭の一、一一四台分

<3> 編機所得  一、二七七、一七〇 <1>―<2>

(B) 学園所得

<4> 収入      七一二、六〇〇

入学金収入   一二一、八〇〇 一人当り三〇〇円の四〇六人分

月謝収入    四六六、〇〇〇 一人当り五〇〇円の九三一人分

免許料収入   一二四、八〇〇 一人当り八〇〇円の一五六人分

<5> 学園経費    一五六、〇〇〇 原告提出の計算書による

<6> 学園所得    五五六、六〇〇 <4>―<5>

(C) 不動産所得        九七五 十二月分家賃一、五〇〇円に所得標準率六五%を乗じた。

(D) 給与所得       八、五〇〇 十二月分給料からその一五%に相当する金額を控除した(所得税法第九条第一項第五号参照)

(E) 所得金額   一、八四三、二四五 <3>+<6> (C)+(D)

(註)昭和二十五年中の原告の編機販売の総数は一、一一四台であり、また同年中の講習所への延入学者数は四〇六人である。原告の申立によると編機の同年中の小売数は延入学者数の八五%に相当するので、三四五台となり卸売数は七六九台となる。また原告の申立によると同年中に販売した編機には一二〇目機、一四五目機、一七〇目機の三種があり、その販売比率は販売総数に対してそれぞれ五〇%、三〇%、二〇%である。従つて編機の種類別販売数は、つぎのようになる。

種類

小売数

卸売数

比率%

一二〇目機

一七三

三八四

五五七

五〇

一四五目機

一〇四

二三〇

三三四

三〇

一七〇目機

六八

一五五

二二三

二〇

三四五

七六九

一、一一四

一〇〇

(ハ) 昭和二十六年分所得は学園所得、不動産所得および給与所得からなる。

(A) 学園所得

<1> 収入    三七七、六〇〇

入学金収入 一〇五、〇〇〇 一人当り三〇〇円の三五〇人分

月謝収入  一七五、〇〇〇 一人当り五〇〇円の三五〇人分

免許料収入  九七、六〇〇 一人当り八〇〇円の一二二人分

<2> 学園所得  一八八、八〇〇 収入合計三七七、六〇〇円に所得標準率五〇%を乗じた。

(B) 不動産所得   一一、七〇〇 家賃収入一八、〇〇〇円に所得標準率六五%を乗じた。

(C) 給与所得   一〇二、〇〇〇 給料一二〇、〇〇〇円からその一五%に相当する金額を控除した。

(D) 所得金額   三〇二、五〇〇 <2>+(B)+(C)

(ニ) なおこの外に原告には昭和二十四年から昭和二十六年まで編機の附属品の販売による所得がある。

(4) 従つて原告の所得金額を昭和二十四年分については一、四二一、九五五円とした渋谷税務署長の決定を一部取消し右金額の範囲内である金一、一九四、〇〇〇円と訂正した決定並びに昭和二十五年分及び昭和二十六年分について右金額の範囲内である渋谷税務署長の一、一一〇、三七〇円及び一八八、八〇〇円とした決定を認容した各決定はいずれも違法でない。

(5) 原告が前記東京高速編物研究会及び東京高速編物協会の経営者であつて、訴外中村定雄が原告の使用人にすぎなかつたことは、昭和二十五年一月から十二月まで原告は右事業について毎月一四人ないし二三人の使用人を使い、その使用人に対し給与を支払い、その際給与所得の源泉徴収をして被告に納入していることからみても明らかである。

(6) また原告は昭和二十四年から前記事業の収益によつて次のような建物を建築し、所有しているのであるが、このことは右研究会或は右協会の経営者が原告であり、その収益はすべて原告に帰属したからこそできたものである。

(イ) 渋谷区千駄ケ谷四丁目七一三番地ノ二

家屋番号同所三一六番

一、木造亜鉛瓦交葺平家居宅一棟建坪三七坪六合九勺

(ロ) 同所同番地

一、木造亜鉛メツキ鋼板葺二階建工場一棟

建坪六坪七合五勺二階六坪

(ハ) 同所同番地

一、木造瓦葺二階建住家事務所一棟

建坪五三坪二合五勺 二階 一七坪七合五勺

(ニ) 同所同番地

家屋番号 三一六番ノ一七

一、木造スレート葺二階建校舎 一棟

建坪三一坪七合五勺 二階 二九坪二合五勺

五、被告主張事実に対する原告の答弁

被告主張(二)(1)記載事実中昭和二十五年十一月二十七日原告は中村定雄とともに代表取締役として東京高速編物株式会社を設立し、原告の肩書住所地で編物機械の製作販売及び編物の講習事業をしていたことはあるがその他の事実は否認する。即ち原告は昭和二十四年から昭和二十六年までの間に個人で編物機械の製作及び販売並びに編物の講習事業を経営したことなく、右事業は中村定雄が原告の肩書住所地で被告主張のような名称をつかつて行つたものである。

同(2)の事実中原告が税務官吏の調査に際し課税資料となるべき書類や帳簿はないといつて提示しなかつた事実はあるけれども、原告は被告主張のような事業を経営していなかつたのであるから書類や帳簿を所持しないことは当然である。

同(3)(4)記載の事実はすべて争う。尤も被告主張のような申立を税務官吏にした事実はあるけれども、右申立は、東京国税局より調査された際原告は協議官の慫慂により東京高速編物協会の会長であつた道義上責任を感じ推測でのべたものであつて真実に反するものである。

同(5)記載の事実も争う。被告主張の給与に対する源泉徴収所得税を納付したのは東京編物研究会であつて、その代表者は中村定雄であつて原告とは無関係である。

同(6)記載の事実も争う。被告主張(イ)の建物は登記簿上存在するけれども現存せず右編物を取毀して同(二)の建物を建築したものである。右(二)の建物は前記中村が建築したものであるが、後に原告の妻田中阜子がこれを譲受けたものである。又(ロ)及び(ハ)の建物も右田中阜子の所有であつて、原告の所有ではない。

六、証拠関係<省略>

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